マルー・クインクエ【全体派への依頼】・・・5

「おい! ヘレデム、正直に答えろ! この依頼の目的はこれか!?」
いざないは再び事務所に乗り込み真相を聞き出す為ヘレデムに詰め寄った

「ねえ今の大きい音何…キャッ」 どん どん
「キャッ」 どん
「わわっ」
「ひゃっ」

音に驚きやって来た女子軍が入口に立ってたいざないに次々ぶつかった
「あらら、大丈夫ぅ?」

バタバタバタバタ

そのまま将棋倒しになりいざないもろとも床に沈んでいく。
いざないは女子軍の圧に目の前が真っ白になった
「ごめーん。重くない?」
「すぐどけるね……?」
下敷きのいざないに詫びるも反応が無い
「先生ー、この人気絶してる」
「え?」
いざないから離れ様子を見ると、目を回し失神していた
「いざなーい、おーい」
ヘレデムも側に寄り声掛けするが、目を覚まさない

「まさかここまでとは…重症ですねぇ」

しゃがんでいた女子軍が入口を見て明るくなった
「ジン先生♥」
「今日こそうちらと遊ぼーよ♥」
「僕と遊ぶにはお金発生するって言ってるのに♪」
「今回もダメかー♥」
お誘いをやんわり断りジンホウは事務所の中へ
「コンティが現れたから修羅場見たくて来たんですけど、間に合わなかったみたいですね」 残念

〈今日は説得者いなくなったってー〉
〈じゃ、のんびりやろっか〉

入れ違いに女子軍は事務所から出て行く
「いざない君、女性恐怖症なんです」
「ええ!?」

〈片方持って貰えませんか〉
〈はっ〉

「原因は幼少期に女性達から散々遊ばれたらしいですが」
いざないの左腕をジンホウ、右腕をアドが担ぎ横にさせようと部屋へ向かう
「コンティはどうなりました?」
「…プリセプの陣で暗に還りました。オフィチウムも共にです」
「なるほど、いざない君の勝ちですね♪」
連れて行かれるいざないを『ありゃ~』といいながらヘレデムは戸惑い見送る
「女帝は跡継ぎが欲しいですが、いざない君はこんな感じなのでリハビリが必要なんです」
ズルズルと引き摺られる度靴が脱げそうになっている
「――が、もう少し時間掛かりそうですねぇ」


数分後、全体派の控え室に到着しいざないを寝かせるがまだ目を回したままで起きそうに無い
「コンティが現れた時やはりいざない君逃げました?」
「…はい」
「予想通りと言いますか」
ジンホウは想像するだけで笑いが込み上げ苦笑する
「後は僕がやります」
アドは頷き廊下へ。
寝てるいざないを改めて見直し、ジンホウはくすりと笑う


暖かな色と光が差し込む穏やかな場所で、ニコニコ笑うれいりがいざないを見ている。
いざないは視線に気付くと目を逸らし眉を顰めた
「何笑ってんだか気味悪ぃ」
ふわふわの存在は立ち上がり近づくと、いざないに腕を回し抱き付いた。
いざないは抵抗もせず今の状況を冷静に傍観している
(ああ、夢か)
れいりは少し離れ微笑みいざないを見上げる
(こいつが俺に笑うなんてする訳ねーもんな)
夢だと知るといざないはれいりから視線を逸らす事なく見続けた。
れいりはそのまま顔を近づけいざないは受け入れる
(それに、んな事したら)

(死んじまう)

心的苦痛に駆られ苦しそうに目を細めた


「……」
気絶から目覚めたいざないは余韻に圧迫され顰めっ面だ
「最悪」

はっ

「………!!」
上体を起こし我を疑う
「~~~なっ……」

ガタン バタン バタ バタッ

驚いたいざないは部屋内で暴れている

バン!

「おはよういざない君、他の皆はお昼に戻って来るって」
「おはよう」
事務所扉を荒々しく開けるとほのぼのと出迎えるジンホウとヘレデムがいた
「てめぇ、ジンホウ俺に何した!!」
「え? 何の事?」

〈えい〉

ヘレデムがいざないの朝食用意を始める
「人の服脱がして何しやがった!!」
超おかんむりのいざないとは対照的にジンホウはほのぼの維持
「良い夢見られたでしょ♪」
「は!?」
「ディックさんが良い夢を見させてくれる幻獣の法と掛け合わせて粉を作ってくれたんだ♥」
懐から粉が入ってる小瓶を出し目の高さに合わせると数回振っては喜んでいる
「直接皮膚に掛けないとなので脱がしたけどゴメンね♥ ――で、楽しかった?」
「………」
いざないはびくつき挙動不審に
「悪夢だ!!」
「そう? 僕は楽しかったけどなぁ」
怒り口調のいざないに意外そう
「んな事よりあんたこの依頼仕組みやがったな!!」
「先に盛大な偽装をしたのはいざない君だしね。お返し♥」
「!!」
ジンホウは素直に認め吐露しだす
「マルー総出で騙しに掛かるんだもん。危うく引っ掛かる所だったよ♥」
「……」
(こいつ気付いてたのか…)
「まぁ、博士はもう少し振り回しておきましょう♥」
「健康チェック行って来るぅ」
「はい」
ヘレデムはトーストをいざないとアドに渡し出て行った。
ジンホウは椅子に座るよういざないに勧めると、いざないは警戒心全開で睨みながら腰を下ろしている
「僕はいざない君が本当の事を言ってくれれば、いざない君を優先にして動いても良いと思ってるんです」
「!」
食事が終わり紅茶の良い香りを嗅ぐジンホウは、反対側に座るいざないに優しい笑みを浮かべている
「従者は主の為に動くのが基本ですし、主が何も言わないなら良かれと思って独断で動いちゃいますよ♥」 昨晩の様に♥
「…」 だからいつ決まったんだ
食事をせず疑いの目でじっとジンホウを見続ける
「――で、本命は誰ですか?」
「……」

ガタッ

「今のままでいいんだよ」
トーストの皿を持ち立ち上がってジンホウに背を向ける。いざないは静かに重い口を開いた
「…そうですか」
小さくなっていくいざないの背を見て寂しげに微笑む
「では、いざない君依頼解決するまでここから出られませんねぇ♪ 出入口の至る所に候補者が現れる法陣張ってあるんで♥」

ピタ

「いざない君にのみ発動する法陣です♥ まぁ、早く解決するか発動して相手するか頑張って下さい♥」
(とんでもねぇ…)
ジンホウのやり口に怒り震えるいざないであった

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