二人の特訓・・・2

肩をつつかれ皆の方を振り向く

〔今から順番に近づきます〕

「…はい」
紙に書いた字を一人のディックが掲げ、右のディックかられいりに近づく
(文字表記したのジンホウさんぽいな…)
近づいては離れるディック達を見ながられいりなりに推察している

「…何とも無かった」
パチパチパチパチパチ

四人はごく自然にれいりとのお近づきを達成し拍手が飛び交う

〔しがみつけます?〕

「…はい、やってみます」
文字表記後、れいりは一人のディックに近づきぬいぐるみと同じ感覚でしがみついた

バフ

(やっぱりディックさんって思ってるから何とも無いのかな…)
れいりは至って素である
(いや…この中にジンホウさん達がいるんだし…………こんがらがってきたかも…)
静かなる自問自答を繰り返し二人目に突入

バフ

(…ん? 体型が違う……)
気付いたれいりは考える
(そっか、見た目同じでも体型は違うか…)
目を瞑り四人の姿を思い出す
(んーと…がっちりしてるし、身長も高いな…)

「もしやソルム!!」

「当たりだ」
「わー♥」 バンザーイ
正解を導きれいりは両手を挙げバンザイしている
「よーし! どんどん行くぞ――!!」

バフ!

〔ソルムさん、声〕
「そうだったな」
三人目に突入してる最中、文字紙を苦笑しながらディック(ソ)に見せている
(……筋肉質だけどスマートな感じ……ふむ)
しがみつき具合を吟味中
「最後、お願いします!」

バフ!

躊躇する事なくれいりは最後のディックに突撃
「……」
(一番最初と最後が身長同じくらい……最初は柔らかさがあったかも)
全員終わり考えた末ある結果が出された
「答えが出ました! 最初がディックさん、次がソルム、三番目りょうずさん、最後ジンホウさんですか?」
「正解」
「うわー、全部当たった――」 バンザーイ バンザーイ
「れいり、凄い!」
「方向性変わりましたね」
れいりは本来の目的からずれ、誰かを当てるゲームへと変わっていた
「れいり君、ゴーグル外して今のをやれます?」
「ムリです」
「なら着けたままで良いので、りょうずさんが動いてみて下さい」
「!」
「はい」
ディック(ま)が近づきれいりは驚くが、ほぼ変な動きは無い
(これは…ディックさんの顔したりょうずさん………えーと…)
ディック(ま)がれいりの両手を掴みユサユサしているが、れいりの変化が無い代わりに疑問が膨らみ始めている
(んーと……………) りょうずさんだけどディックさんだから……
「混乱してますね」
れいりの頭は『?』で満たされた

「外してみる?」

「!!」
本物ディックからゴーグルを上に外されると、れいりの目前にいたまいちに驚き目玉が飛び出す

カポ

「…」
再びゴーグルを掛けられると素になるが目が点

外し
「!!」
カポ
「……」
外し
「!!」
カポ
「……」

「見た目を慣れると大丈夫と言う事ですか」
ディックが取ったり着けたりを繰り返す中、ジンホウは苦笑し結論を出した
「プリセプスの動きが激しい。疲れも出たろう。休ませたい」
「そうですね」
ディックの動きが止まるとれいりはゴーグルを装備したまま皆を見る
「こちらで休むのですか」
「はい」
「連れて行きます」

〈こうですさん〉
〈…はい〉

ディック(ま)が確認後れいりの手を取り寝室まで連れて行く
「私達はマルー?」
「いえ、部屋取ってあります」
ジンホウに聞いた本物ディックはそのまま待機となった


(声はりょうずさんだけどディックさん…?)
まだ混乱している
「お座り下さい」
「はい」
『?』中のれいりはベッドに座った。
ふいに掛けていたゴーグルが上にずらされる

「早く私に慣れて下さい」

この世とは思えない程美しく微笑むまいちにれいりの思考が停止した
「………」

(聖母!!?)

『副団長は』
『そろそろ様子見に行きますか』
カチャ

れいりはイケメンを通り越したのだった

         *

(おお!! やっぱこの位置が一番!!)
別部屋では、衝立の裏から顔を覗かせ観察を堪能しているいざないがいた
「相変わらず見てますねぇ」

はっ

「時間でしたので迎え来ましたが……」
リビングには食べかけの食事、側のベッドで二人が手を取り合い睡眠中であった
「いざない君、何かやったんですか?」
「疲れてたんじゃね? 飯食ってすぐ寝ちまった」
「………」
貰ったサインをそそくさバッグに入れ立ち上がる。
ジンホウは不自然な状況を眺めていた
「副団長、この部屋です。行きましょう」
「ああ」
まいちが部屋の鍵を見せいざないに呼びかける
「そうですか…全て込み込みでしたけど…仕方無いですね。僕がお相手するしか…」
「!?」
部屋を出そうになったいざないが振り向く
「冗談ですよ。位置取りしないで下さい」
「嘘かよ!!」
「…」
ベストポジションにいたいざないがびっくり。
いざないの素早さにまいち無言

パタン

〈良かった…〉
小さくなるいざない達を見送りながらすっきり感が無い
「――ま、博士かテネヴさんに聞けば分かるでしょう」
従者が立つ異様な廊下を通り過ぎ自分の部屋へと向かう
「いざない君は特訓ならなかったみたいですが」

〈ジン――♥〉

扉入口から手を振って待ってるディック
「喜んでたし、良しとしましょう」

〈こっちこっち〉
〈はい♥〉

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