遭遇・・・2

――さらに一週間後

「いただきまーす♥」
テーブルの上には良い香りが漂うクッキーが並び、早速ディックは一枚頬張っている
「れいり君も大分落ち着いて来ましたね」
「はいっ 皆さんのおかげです」
ディックの部屋でジンホウ、まいち含め五人のお茶会が催されていた
「最大の難所も今ではここまでに♪」

〈ありがとうございます〉
〈いえ〉

「れいり、頑張った♥」
隣にいたまいちに礼を言う。
当初のぎこちなさが全く無く余裕の笑みを浮かべるれいりがいた。
その距離五十センチメートル
「ソルムさんも前よりは改善されたかとは」
「そうだな」
「良かった――♥」
談笑中、カラリン君二匹が掃除をするため侵入し奥へ入って行く

とん

掃除に邪魔なでかバッグを二匹掛かりで持つとリビングに置いている
「そう言えばいざない、あの場所からいつ戻って来るんですか?」
バッグを見て思い出すと皆に訊ねた
「それが明確に分からなくて」
「…そうなんですか? 期限の無い仕事ってあるんですね……」
話の流れに答えるもジンホウは不思議そう
「……ディックさん、れいり君に話を?」
「ううん」
「では、まいちさん?」
「いえ」
二人に聞くが首を横に振る。
れいりはモクモクとクッキーを口に入れお茶を飲んでいた
「れいり君、その情報はどこからですか?」
「数日前会って来たんです。私家の掃除中ですぐ戻って来たんですけど」
『え』と言う顔で三人はれいりを見た
「れいり、幻獣の所だよ?」
「はい、綺麗な幻獣と一緒にいました」
ディックの言う事にも的を射た答えを言う
「ジン!」
「まさかれいり君が突き止めていたとは」
「?」
驚くジンホウ
「れいりさん、休憩後で良いので波長室で詳しくお聞かせ下さい」
「え……は…はあ…」
真面目な顔でじっと見つめるまいちにきょとんとし頬を染めている。素のれいりは特訓の成果が現れていた

         *

波長室には波長、夫人の他るうりんも呼ばれ集まっていた
「早速ですがれいり君はその場所に“印の鈴”で行ったのですか?」
「…印の鈴?」
ジンホウの質問に訳が分からず『?』
「こう言うのだよ」
ディックは懐から直径二センチくらいの丸い玉を見せ、括り付けた紐を揺らすと『チリーン』と優しい音が鳴る
「幻獣がくれる時あるの。次遊び行く時に森の前でこの鈴鳴らすと道が出来て仲良くなった幻獣の所へ行けるんだ♥」
「そうなんですか」
目の前に翳される銅色の鈴を目を丸くして眺めている
「私は持ってないです」
「…? じゃ、どうやって行ったの?」
言いにくかったが話の流れで言った方が良いなと口を割る
「………昔、幻獣ドコドコに貰ったリジニウム・ステラで…」
聞いていたるうりんとまいちが反応した
「れいりさん、手に入れてたんですか」 まぁ
「…おソノさんに言うと取られそうだったんで黙ってました」 ハハ…
申し訳なさそうに笑う
「取られても幻獣の物は受け取った本人しか使えないから戻って来るよ♥」
「そうなんですかっ」 知らなかった!
新事実に驚く
「森とは又別の場所を住処にした幻獣ですか…侵入しても会える確率は低いのにラッキーですね」
「いつもは人の姿でゴミ拾いしてるんです」
「変化ですか、興味深い」 ほほう
幻獣の特性に関心を抱くジンホウ。
夫人は過去の記録帳を開きペラペラと目的の場所を探して読み出す
「全体派と濃艶派幹部が美化とパトロール目的で行った山ですね」
「美化とパトロール…ですか」

〈行く理由が一緒ですね〉
〈団長と濃艶派リーダーとは良く重なります〉

山に行く理由を知りれいりは脱力。
るうりんとまいちは良くある事の様で平然としていた
「で、そのリジニウム・ステラは願いが叶う木の実と言う事なんですけど」
気を取り直しれいりは説明を続ける
「この前掃除してる時見かけて拾って、そう言えばいざないもこれ持ってたなぁとか思ってたらいざないの所に行ってしまったんです」
「いざない君も持ってるのですか」
「…はい。多分一緒にゴミ拾いしたお礼だとは…いざないの事だからもう無いと思いますけど」
「いざない君、良い子ですねぇ」 やっぱ好きだなぁ
〈え…〉
控えめに笑いいざないに好意を寄せるジンホウにれいりはちょっと驚いた
「こうですさん、いざないさんと一緒にいた幻獣はどの様な姿でしたか?」
「えっと…角があって綺麗でした…」
夫人の質問の意図が分からずも素直に答える
「角がある子は多いから…数百はいるよ」
「れいり君、他に特徴や気になった事でもあれば」
「……」 うーん
他にあったかなと考えるが何もない。
ふと、視線を感じ横を見ると首を傾げてれいりを見るパグがいた
「…でも、これは多分幻覚だと思うし」
「何でも良いですよ」
「どんな幻覚?」
「……パグちゃんがたくさんいたんです。木の枝にたくさん」
しょうも無い事を思い出し笑う
「きっとリジニウム・ステラの影響で――」
るうりんとディックが驚いた様子でれいりを見ている
「れいり! その角の生えた子、髪の色金だったり銀だったり?」
「はい! そうです」
「瞳の色は透明感のある青とか緑とか?」
「そうそう!!」
「体は白い?」
「それそれ!!」
ディックの問いに喜んで頷く
「ディックさん、ご存じで?」
「うん」

「幻獣レオだよ」

「へ?」
当てはまる幻獣の名を知りぽかんとした
「…幻獣レオって……パグちゃんは……子供ですよね…?」
「そう」
るうりんの腕にちょこんと捕まるパグを見ると『くーん』と鳴いている
「…………」 大人と子供の差が…
「大きくなると姿が随分変わるんです」

〈ねっ〉
『くーん』

パグとあの幻獣とが繋がらず唖然として見続けるれいりにるうりんが説明している
「確認の為にソルムさんにお願いしたいのですが。れいり君、いいかな?」
「あ、はい」 そっか
興味を持ったジンホウがニコニコ顔でれいりに頼む
「ソルム、お願いしていい?」
「プリセプスにか?」
「うん」
「御意」

くるっ……フワッ…ポン

人差し指を回転させれいりを通し幻獣の姿が目の前に現れた
「あ、やっぱり幻獣レオだ」
「そ…そうなんですか…」
確信したディックはれいりと共に幻獣の投影に近づく
「これは美しい」 ほぅ
「そうですね」
後方にいたジンホウとまいち。ジンホウはうっとりとし幻獣を眺めている
「……」←ジ・ま
そしてそのままれいりを見る二人。
ソルムは不思議そうに二人を見ている

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