マルー・クインクエ【暗の生物】・・・1

「大量にあって驚いた……ミヨシかなり置いてったんだ」
両手にアイドルグッズを持ち客室へと向かうれいり。
同じく客室に来たいざないがれいり達を見かける
「ま…明日家に置いてこよ…」
「御意」
「…ん?」
ふと立ち止まり考えた
「おソノさんほとんど帰って来ないなら家戻ってもいいんじゃ」

カチャ

「もうしばらくこちらの部屋にいて下さい♪」
「ジンホウさんこんにちは」
「こんにちは」
ディックの部屋にいたジンホウが扉を開け挨拶
「私、こっちいた方いいんですか?」

〈れいり!〉
〈こんにちは〉

「ええ…でないと」
奥にいたディックもれいりに気付き笑顔
「いざない君焼きもちやいちゃいます」
「へ?」
いざないの名が出て来た事にキョトン
「ね。いざない君♪」 そこにいるのは知ってますよ
〈…〉

たたたっ びくっ

通路角を見たジンホウに気付きその場まで駆けていき覗く。
れいりに見られたいざないは驚いた
「こっち来れば良いのに何で立ってんの?」
理解出来ないれいりはいざないの袖を掴んで連れてくる。
いざないは抵抗する訳でも無くそのまま部屋の中へ入っていった
「いつも頂いてばかりなのでお土産持って来ましたよ♪ 皆で食べましょう」
「わーい❤」
「じゃあお茶の準備します!」
「この部屋はサロンか何かか」
いつの間にか集合場所になりつつあるディックといざないの部屋。
突っ込むいざないをよそにテーブルにはお菓子とお茶が並ぶ

〈後で食うか…〉

公認となった為いざないはれいりの隣に座る事に。間食しないいざないは茶だけを啜っていた
「……そう言えばアドさんとオフィさんいないですね…」
「二人は戦人が還ったので暗に戻りました」

〈おいしー❤〉

「…そうですか…では解決したんですね」
「ええ」
「…オフィは」
気になったいざないはジンホウを見る
「暫く掛かりましたが今は復帰してます」
「…そうか」
「会われます?」
「いや……」

〈中に体液か…変わってる〉
〈たっ…〉
〈クリームです〉

皮の中のクリームを眺めるソルムに驚くれいりと唖然とするいざない。ジンホウは笑って説明している
「オフィさんどうかしたんですか?」
「…色々あったんだよ」
「…そっか」
話の流れでれいりも気になったが、これ以上聞けないなと察しお菓子を口に運ぶ
(アドさんとオフィさんにちゃんとお別れしたかったな…)
しんみりするれいりの横でお茶を飲み終えたいざないがバッグの中をゴソゴソしていた

「ん」
コロ…

「…! リジニウム・ステラ、あったの!?」
「そう簡単に使うかよ!」
手のひら大のリジニウム・ステラがテーブルの上に載る
「無かったらもっと楽しめたのに、残念」
「本当残念」 ちっ
「…お前らの企みに嵌まってたまるか」
笑うジンホウと非常に残念がるれいり
「でもパグちゃんの分は奉仕させるからね!!」 くわっ
「…………わーったよ」
般若顔のれいりに引いている
「私触るといざないの所に戻るみたいだからソルムに囲って家持ってかないと」
「…使わねーの?」
「今の所使い道ないし……あ、一欠片いざない持ってたら?」
「あ?」
「色んな所行けるみたいだし便利じゃない?」
いざないは言われた通りにリジニウム・ステラを割り、眺めた後瓶の中へしまう
「ふーん…」
「残りは飾っとくね」
「ああ」
穏やかな二人のやり取りにジンホウとディックも和んでいた
「そうだ、一丁さんに付き合ってるって言った?」
「……言わねとなんねーのか?」
れいりの言葉に体が強張る
「当ー然! まず形から入んないと!」
「基本ですね♪」
「……」
一点を見据え顔色が悪い
「…………いずれ」
「なるべく早くだよ」
「……………かった」
れいりがいざないを見るも顔を背け歯切れ悪く呟く
「れいり君には手袋を渡しておきましょう」
「ありがとうございます」
「おや」
コートから手袋を取り出すが、手袋は穴が開き丸くなって身が詰まっていた
「ダイヤ君、気に入って入ってましたか。すみません、新品を後日」 穴開いてる
「あはは。かわいー」
手袋の中から目を覚ましたダイヤ達が顔を覗かすと、ディックは愛らしいダイヤにほっこり
「……もしかして生物ですか? 目がある…」
「はい、暗の生物です。僕はダイヤ君と呼んでます」
ダイヤの存在に気付いたれいりは驚いて眺めていた
「ソルムのとも又違うんですね…」
「そう言えばソルムさんのは一つ一つが生物ですか?」
「そうだ」
れいりはダイヤの形と鎖の形を見比べ観察
「何体ほど?」
「知らぬ」
「え!?」
「最初は手首に巻き付いていた――…」

「……」
数を聞かれ昔を思い出すソルムはふと考える

「いつの間にそこまで増えた?」
「え゛え゛っ!?」
「フツー途中で気付かねーか?」
「ソルムさんのそんな所が気に入ったのかもしれませんね」
ソルムの覚えないスキルの高さに脱力するいざない
「ソルムのは“くさり”って名前なんです」
「…まんまかよ…こっちもまんまだし」
「ダイヤ君、こんにちは。よろしくね」

ポッ

ダイヤに近づきニコニコ笑顔で挨拶すると、ダイヤ達は顔を赤らめ小さいお目目でれいりを見ている
「ダイヤは目、かわいいよね♪」
「本当ですね。鎖もつぶらなんですよ」

〈やはり気に入りましたか〉
ダイヤの変化にジンホウは嬉しそう

「うわー、見たい!!」
「ソルム、鎖って今寝てる?」
「すぐ起きる」

シャッ

腕を前に出すと一連になった鎖が目の前に伸び、それぞれが目を開く
「うわー、かわいい❤」
「……こんだけ多いと圧倒されんな…」
ディックは喜ぶが、いざないは鎖の数に合わせて見えてくる瞳の多さに引き気味。
ふと、ダイヤと鎖の目が合った

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