マルー・クインクエ【暗の生物】・・・2
バチッ!
「え?」
シャッ カチ!!
ダイヤと鎖は怒り目になりジンホウの前とソルムの前に位置して睨み合いに。
ダイヤは横に整列し、鎖は四角に組み合わせ盾の様になっている
「ダイヤ君と鎖どうしたの!?」
双方戦闘態勢に入り身構えた
「……」 じっ
観察していたいざないが何かに気付く
「…自分の縄張りを守ろうとしてるみてー」
「え!?」
「へえ、暗の生物は生態が謎なので知りませんでした。縄張り意識が強いんですね」
呑気に話すジンホウをよそにダイヤと鎖の間はバチバチと火花が散り出具合を窺っていた
「こうして見る限りダイヤ君の縄張りが僕で、鎖君はソルムさんですか」
「鎖起こさない方良かったんじゃ…」
焦ったれいりは間に入ろうと寄って行く
「ダイヤ君、ゴメンね。すぐ寝て貰うか」
シャッ
『プリプリはこっち!!』
「ら…………」
胴体を鎖が巻き付きれいりをソルム側へ引き寄せた
「れいり君も縄張りみたいです」
苦笑するジンホウとポカンとなるいざない
「……」
気配を感じ下を見るとダイヤ一体がいざないの側にいた
「いざない君はダイヤ君の縄張りですね」
「いつの間に…」
ジンホウは楽しそうにいざない達を見ている
「ただ、ディックさんはダイヤ君と鎖君接触が少なかった様で迷ってますね」
ディックの側に行くかどうか躊躇するダイヤと鎖
『どうする?』
『いい人?』
『いい人かな?』
『いい人だよきっと』
『取られる前にいく?』
「…鎖は良く喋るんだな」
「言ってる事分かるの?」
「大体…お前の事“プリプリ”って言ってる」
「え!」
れいりは鎖を見た
「ソルムはわかる?」
「言葉は聞き取れぬが雰囲気で読み取れる」
〈私プリプリなの?〉
『うん』
語りかけるれいりに答える鎖
「…ソルムの事なんて言ってるんだろう」
「分からぬ」
『ソルソル!』
「?」
「……“ソルソル”だと」
れいりのぬいぐるみ命名と似てる鎖の呼び方に汗
「……すごいねいざない」
「当ー然!」
「能力ですしね」
ぎく!
褒められ気を良くするが横やりが入り体が強張った
『あの人分かるんだ』
『でも取られてる』
鎖はいざないを見るが胸元には睨むダイヤがいる。
ダイヤと鎖は目的をディックに変え再び『じ~』と見続けた
「私、ダイヤも鎖もかわいいから好きだよ❤」
ポッ
ディックの天使の笑顔に双方顔が赤くなり少しずつ近づいていく
「ダイヤ君、ディックさんは君たち二種の縄張りとして、ケンカなる前に戻りましょうね」
「鎖も戻れ」
『えー』
ジンホウはダイヤを集めポケットの中へ。
鎖も名残惜しそうにしながら定位置へ戻った
しょぼ~ん
「取られませんから心配しないで」
ポケットの中から悲しい顔でジンホウを見るダイヤ達
「覗かないで中に入っててください」
ぴょこと五つの頭がポケットから出て来る。
ジンホウは困り笑い
「良い子にしてたらクリアな石の山に連れて行きますよ」
シャッ
「静かになりましたね」
ジンホウの提案にハッとしたダイヤはすぐ頭を引っ込めた
「石の山好きなんですか」
鎖はダイヤが見えなくなったので眠りに入る
「ダイヤ君は石を主食としてまして、特に透明度が高い石が好きなんです」 でも砂は食べません
「へえ~、鎖と全然違うんだ」
「鎖君は何を主食に?」
「主に私の法を食うが水と土以外は何でも食す」
「環境によって違うのでしょうね。法とは又凄い」
ダイヤと鎖の違いに感嘆
「この子達は小さいですが、恐ろしい能力を秘めています。興味はありましたが、ケンカするとこの部屋破壊しそうでしたし」
「じゃあ危なかったんですか?」
「ええ」
状況が危険だった事にれいりはギョッとした
「暗人が手を出さない理由の一つです」
「内面読み取る能力あるもんなー。懐くなんて早々ねーんだよ」 特に暗には
暗の生物の性質を語るいざないは内心冷や冷やしていた様だ
「そう言えば明世界に小さな生物はいるのですか?」
「うーん、見た事ないよ」
「寒さに耐えられなかったのでしょうか」
「でもダイヤも鎖も似てるね」
「?」
考えていたディックの顔が綻んだ
「幻獣に♪ 目元とか縄張り持ってたり」
「そう言えばそうですね」 大きさ違うけど
幻獣との共通点に気付いて笑うディックと手を合わせて同意するれいり
「…まさか」
ジンホウの瞳に光が差し込んだ
「そうだとしたら凄い発見です! 早速細胞を採取…………ダイヤ君固すぎて困難ですね…」
「暗の生物は固いのしかいねーんじゃね?」 マジか
ジンホウほどの驚きは無かったが、いざないもそこそこ驚いていた
「何か良い方法を…先に幻獣から…………近くにいませんか…」 カラリン君は動物
「…パグちゃん」 じ…
「俺に来んのかよ!!」
がっくりとジンホウは肩を落とす。
じと目で見るれいりにギョッとなるいざない。
ディックはジンホウが何故慌てているのか分からず『?』状態
「いざない君、幻獣の過去なんて分かりませんか?」
「訴えるような目で俺を見んな!!」
子供がぐずった様な泣きそうな顔で見てくるジンホウに焦る
「…古株がいれば分かるかもしんねーけど」
「お願いします、これは僕からの依頼です。報酬も支払いましょう」
「まじか!」
ビジネス話に前向きになった
「…てか、簡単に幻獣の所に行けるもんじゃねーだろ」
「いつでも構いません。無期限で♪」
すぐ壁にぶち当たり足踏み状態になるもジンホウは喜んでいる
「じゃ、行く? 幻獣に会える鈴あるけど」
「は?」
「そうでした、その手がありました!」
れいりの提案に気付きテンションが上がり出す
「古い幻獣ってどの子だろ…?」
「なら私の鈴の子に行ってみる?」
「おおっ」
ディックの一声にれいりもテンションが上がった
「いつ行きます?」
「うーん、今すぐと言いたい所ですが…」
ワイワイワイワイ
「…盛り上がってんな」
いざないとソルムを除き三人で楽しく計画を立て始めている
*
「では私はこれで。ジンホウさん、ご馳走さまでした」
「又後日に」
「はい」
日程も決まり時間もだいぶ過ぎた頃、れいりは笑顔で部屋から出て行った
「さて、僕も石の山に――…と。いざない君」
次いでジンホウも出て行こうとしたが、ある事を思い出しいざないに振り返る
「れいり君は“女性恐怖症”を治すと言う役目を受けて、やる気に満ちています」
「その間にれいり君との“信頼”を回復して下さいね❤」
ジンホウの忠告に口を閉ざし戸惑う
「では」
「……」
「いざないなら大丈夫だよ❤」 えへ❤
「…………」 何を根拠に…
ジンホウが出て行った後、ディックはお菓子を食べながら満面の笑みでいざないをフォローしていた
「…ディック、俺今から出掛けるから先寝てていい」
「うん。じゃ、るうりんとお話して来る❤ 特別幹部だから忙しくないんだって」
ディックはいざないと一緒に部屋を出て派長室へと軽い足取りで走って行った
(そういや濃艶無くなるんだったな…後でししょーに詳しく聞くか)
小さくなるディックを見送り自分も外に出ようとソルムの前を通って行く
じ―――
『いる?』
『いない』
『どうする?』
視線を感じた
『あー、ダメだ!』
『何か張られてるよ!!』
「……!」
『きっとチャンスがくるよ!』
『また次だね!』
「……賑やかだなそいつら」 ダイヤの奴何してったんだ…
「そうか?」
『ざんねん』
『うーん』
いざないはお喋り中の鎖を見ては自分の服を撫で外へと出て行った
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