マルー・クインクエ【再会&探索】・・・1

「あいつらはここ数日姿を見せなくなった。今までは三日にあげず現れていたが」
「……」
再度ビイスの所にやって来た五人に広場にいたカウザが伝える
「警戒されちまったか…」
「次現れるのは当分先になりそうですね」
気付かれた事にいざないは厳しい顔
「仕方ねぇ、奴らのアジトを見つける方に切り替える。少し経ってから様子見に来るさ」
「分かった」
いざないは踵を返し出て行く素振り
「あ、じゃ十日くらいフォートゥス行ってくるね❤」
「おう」

くるくる ヴォン

ビイスが棒を回し皆を送り出した。
他ビイスは手を振っている


「どーする? ジンも一緒に行く?」
森入口でディックがお誘いをしてる最中、いざないの連絡機が忙しく鳴った
「そうですね、急ぎの用もありませんし」
確認したいざないの顔色が変わる
「レオ! このまま南の奥に進むぞ!」
「え?」
「何かあったんですか?」
「ジンホウ、お前も来た方良いかもしれねぇ。ディック、又次一緒に行ってくれ」
「うん、分かった。じゃ、又ね。みんな♪」
「はい」
ディックは一人でフォートゥスに行く事になり残った四人はそのまま奥へと歩き出した

         *

――南森奥、毒沼付近
雨避けテントの中で三人が座って待機している

ガサガサ

「副団長!」
草を掻き分ける音とやって来た四人にただおが気付く
「ししょーが消えたってどう言う事――…」


「……何であんたがここいんだ…」
「おう」
「博士!」
「おや、奇遇ですね」
その場にいる筈の無い珍客にいざない達は驚いた
「お知り合いでしたか」
「…まあ」
歯切れの悪い返事。
いさいは何故ここにいるか話し始める
「実を言うと、俺の連れも一緒に消えちまったし」
「連れ? 単独で無いのかあんた」
「普段はそうだが訳あって一緒に行動してる奴がいるし」
「あの従者か」
〈あ〉
ソルムが見たあの人物にれいりも気付く
「…あんた従者いたのか」
「あいつは従者でないし。変化で遭難して記憶無くした奴なんだ」
唖然とするいざないに否定
「違ったみたい、ソルム」
「………者か」
察したソルムはポツリ呟く
「説明しますと、危険区域に入口があると聞いたので、こちら側は典型派には厳しいかと思い猛獣区域に行って貰い、私達は毒沼区域付近を捜索していたのです」
ただおは深刻そうな顔でついさっきの出来事を振り返る


――約二時間前
法でつくられた壁の内側をジャポジャポと長靴を履き、沼を歩き回る一丁がいた
「ウオルシルクリで探せる範囲には無いみたいだのぉ」
「団長、そろそろ消えます。戻って下さい!!」
沼から出ると三人は急いで距離を取る
「しかし毒沼から100m近く離れんと毒気にやられてしまうのも骨が折れる」
「行ったり来たりの繰り返しですもんね…」
100m先にある毒沼を見て大きく溜息
「地道に探すしかないのぉ」 ヤレヤレ
「そうですね」
単調な作業に大変さを感じながら再び沼へと三人は進んだ
「おい、あんた達。その辺は毒沼あるぞ、近づかない方いいし」
「ぬ?」
声に立ち止まると二人の男がいる
「忠告痛み入るが、オレらはマルーで調査の為にここにおるのだ」
「何だ、そうか。しかしおたくらも大変だし。こんな生物もいない所調査とは精が出るな」
変化界の住人にしては不似合いな重装備に一丁が疑問
「見た所お主、変化の者で無さそうだが」
「俺か? 俺は各世界を回って旅してる冒険家だし。今は変化中心に回ってるんだ」 ワハハ
「ま…まさか、この“変化界の植物”を手掛けた『すから いさい』さん!?」 風貌がそう語ってる!
バッと懐から年季の入ったポケット図鑑を取り出し目の前にただおは翳す
「お、懐かしい。五年前に書いて貰ったし。役に立ってるかそれ?」
「もちろんです!! 詳しく書かれてて私にはとてもありがたい代物です、重宝してます!!」
「ありがたいねぇ。ちょっとした有名人だし俺」 ワハハハ
ただおといさいの会話が弾む中、ゴロンは一丁の腰元にある物に目が行く
(あれは…暗の武器では無いか!?)

〈サイン下さい!!〉
〈サイン!? 柄じゃないし…〉

(見た感じこの男は程、この男に扱えるとは思えない)
テンション上がりまくりのただおに引く一丁と焦るいさい
(これはいい。この男から武器を奪い憎き程に一撃を食らわしてやる!) ニ…
ゴロンは口角を揚げ悪意に満ちた顔で笑う
「ゴロン、少し休憩するし」
「…はい!」 びくっ
「でしたらご一緒しませんか! もう少しすからさんとお話がしたいです!! いいですよね、団長」
「…ああ」
一丁はただおの勢いに飲まれている。
ただおといさいは早速地べたに座り談笑が始まった
「話っつても何あるかな」
「冒険の事お聞かせ下さい! 面白かった所とか」
「お、じゃあ――」

〈団長、雨避けテントを張りましょう〉
〈…ああ〉

押され気味の一丁は素直にまいちとテント作りをしている


「それから話も弾み、三十分近く経った頃でしょうか」
「………」
(ただおさんて博士のファンなんだ)
ただおの話にいざないポカン。れいりは意外そうにただおを見ている
「虫除けが少なくなったので、ムケの葉を採取しに行ったのです」
ただおの語り第二弾に突入


〈こう言った葉、効きが良いし〉
〈本当ですかっ〉
いさいの説明に目をキラキラ輝かせ信者となったただおが付いて回る

ふわ~ん

「ぬ?」 くんくん
「団長?」
「何やら良い匂いがする」
「…? 何も匂いませんよ」
一丁は鼻をひくつかせ、微かに漂う匂いに集中した
「良き花でもあるのかのお、二人はそこで続けておれ。オレは何本か摘んでくるわ」 女の子にプレゼントする為
「はい」
「すぐ戻って来て下さいね」
一丁は草を掻き分け気分良く目当ての花を探しに行く

(チャンス! 一人になった!!)

気付いたゴロンが後を追った


「――で、そのままそれっきりって訳か」
「はい、連絡機も通じません」
「ゴロンも付いて行った可能性高いし。目離すとどっか行ってしまうんだ、あいつ」
話が終わるとただおもいさいも困ってしまう

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