マルー・クインクエ【再会&探索】・・・2
「匂い………気になりますねぇ。ちなみに博士、この辺りに芳香を放つ花など咲くのですか?」
「いや」
「二・三咲くのはあるが全部良い匂いとはいえないし、苦いんだ。だから何の匂いに反応したかさっぱりだ」
ジンホウの問いにいさいは首を横に振り溜息
「ですと、あの匂いに反応した可能性が高いですねぇ」
「?」
「……! まさか」
話が見えたいざないがハッとする
「例の香水か!?」
「はい」
「何ですか香水って」
ただおが不思議そう
「地下都市の奴らが気に入って、最近どいつもこいつも付けてるんだ」
「え!?」
「じゃ、ししょーはその匂いに釣られて地下都市に行っちまったって事か!?」
「そうかもしれません」
「その香水は女性用ですか?」←ま
「ええ」
「間違いないですね。団長は女性に関しての嗅覚は飛び抜けてます。そこだけは変化の人達を凌ぐでしょう」
「………」
言い切るまいちに唖然
「……ヤベェぞ、早く見つけねーと種馬にされちまう」
「!?」
れいりも気付いてハッとした
「何だそりゃ…」
「聞いた話によりますと、密かにさらっては子供を増やしてるそうです」
「男だけか?」
「はい、女性が多い都市の様です」
「……」
説明するジンホウにいさいは真面目顔
「暗の混ざりもいるんだろ」
「はい」
「お前向けじゃないのかいざない、お前が種馬になれば――」
バコ!
「ぶ!!」
でかバッグが顔面にヒット
「んな状況でふざけた事言ってんじゃねーぞ」
ぎゅ~~~~~ ギリギリギリ
「~~~くるじ…だんま…ま…まで」
怒りマックスになったいざないが、すかさず追い討ちをかけ首根っこを掴む
「副団長!! 乱暴は止めて下さい!! すからさん死んじゃいますっ!!!」 ええ!?
超が付く程驚いたただおが慌てた
「副団長!!」
言っても止まらないいざないにパニック
「れいり君」 話進めないといけませんし
ガッチ
我を忘れたいざないの動きが止まる
ぎゅううう 〈ふん!〉
後ろかられいりが渾身の力を込めて巻き付いた
「いて―――!!」
ぎうううううううううううううう
森中に響く悲鳴に驚いた鳥が飛び立つ
「博士に飛び掛かるといけないので、しばらくお願いします」
「はい」
ぎり…ぎり
「……」
大人しくなりいさいから離されたいざないは俯いて意気消沈。
ただおはポカンとして見ている
「気付きましたか」
「…ああ」 久々くらった
上半身を起こし喉元に手を添え呼吸を整える
「…嬢ちゃんのもいざないに劣らず強烈みたいだな……」
「…びっくりしました。副団長が一般の人に襲い掛かるなんて初めてで」
「俺の息子なんだ。激しいスキンシップだと思ってくれていいし」
落ち着いたいさいは苦笑い。
ただおは耳を疑う言葉に目が点になった
「副団長とすからさん親子だったんですか!!?」
「ああ。別に隠す必要ないよな? いざない」
「…」ぎううううううう
れいりの制裁を受け続けているいざないは青い顔をし無言
「早く見つけなければ増えますね。養育費の事を考えると切り詰めないといけませんし、五人くらいは出来たでしょうか」
「まだ数時間しか経ってませんって、参謀長!!」
「……」
面倒を見なければいけないと考えてるまいちは遠い目。
恐ろしい発想にただおが仰天
「さて、どうします? 一丁さんが戻らないと言う事はこの辺りに入口があると見て良いと思いますが」
「…レオ、外してくれ」
ぎり…ぎり…
「飛び掛からない?」
「…ああ」
大分気持ちが沈んだいざないは、れいりから解放されても苦しそう
「さんぼーちょーとただおはのの子達と合流して違う入口を探してくれ、入口は一つだけでねーと思うんだ。こっちは俺達が引き受ける」 おえ…
「ですが…」
「俺達は毒の耐性あるし、ただおの法も限度あるだろ」
「…」
「それにジンホウが気にするくれーだから、その香水ってのも何か引っ掛かる」
いざないに言われ、ジンホウは目の前にいるただおとまいちを見た
「まあそうですね。香水が僕の知ってる物であれば、程であるまいちさんといいさんは危険ですねぇ」
「て事だ」
ただおとまいちは静かに聞いている
「地下の混ざり共はどんくらい強いかも分かんねぇ、下手するとさんぼーちょーとただおも種馬にされそうだ」
大人しく側にいたれいりの目が見開く
「……」
(まいちさんを…)
れいりの眉が寄って行く
(させん!!)
ゴォ
後ろからの圧にビビるいざない
「れいり君が着火してます」
一人憤慨するれいりを周りは唖然として見ている
「分かりました。団長をお願いします」
「ああ」
「いいさん、行きましょう」
「はい」
まいちは連絡機を出し、典型派に確認を入れる
「さんぼーちょー、見つけても中に入らないでくれ!」
「はい」
二人は草を掻き分け密林の奥へと走って行った
(まいちさんは、私が護る!!!) ぐっ
「れいり君の意気込みが凄いです」
「…」
拳に力を込め、れいりは奮起する
「俺は付いてくぞ」
「は!? 毒どーすんだよ」
二人が去った後、気後れしたいさいが立ち上がる
「心配ない、俺にはこれあるし」
でかリュックから手のひら大の布(マスク)を出した
「新作ですか?」
「おう!」
鼻と口を布で塞ぎセット完了
「これ付けてれば毒も他のニオイも防ぐし!」
布はピッタリいさいに貼り付くも、呼吸はしやすいらしく陽気に笑う
「さすがですね。使い勝手良さそうです」
「まあな」 ワハハ
「…」
いざないがいさいの布をじっと見てた
「それ、量産出来るか?」
「出来るぞ。材料代は値張るが、欲しいのか?」
「マルーにあると便利じゃね?」
「おかっちんの懐次第だし」
「言っとく」
いざないは機器を出し夫人へ、いさいはでかリュックを地面に置くと中をゴソゴソ漁り出す
「ジン、マスクの設計図」 ホレ
「急ぎですよね。何個必要ですか」 はい
「…二十くらい」
設計図を受け取り、今度はジンホウが機器を使いダイヤも外に出て来た
「あ、イン。今から設計図送るんで至急製造ラインの方へ…」
流れるような三人のやり取りにれいりはポカンとして眺めている
くるーん ヴォン
「ありがとう。ダイヤ君」
設計図はインの元へと送られた
「さーて、行くか。余計な事だけはマジすんなよ」
「変化は俺の方が詳しいし」
いざないはじ~っと周囲を見て一丁の軌跡を探す
「こっちか」 ザザ
「さて、続きましょう」
「はい」
覆われた草の間を五人は歩き出した
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