マルー・クインクエ【再会&探索】・・・3
「博士は冒険家と言ってるけど、本当は発明が専門なんだ」
「そうなんですか」
いざない達が見えるくらいの距離を進むジンホウとれいり
「自分に必要な物しか作らないから、今みたいに欲しいと意思表示しないと協力してくれないけどね♪」
〈いざない、ペース落とすし!〉
〈これくらいついてこい!〉
「へえ~」
「いざない君の眼鏡作ったのも博士だよ」
「え!?」
〈ジン、ついて来れてるか?〉
〈はい〉
いざないの進むスピードにきつかったか、いさいが一旦立ち止まりジンホウに確認をとる
「法も使わずに作る博士は程では才能あるんだ。冒険出てるなんて本当勿体無い」
見失ってはいけないといさいはいざないの側まで駆けて行く
「いざない君も博士ほどではないけど、大きめのバッグ持ち歩いてるし、きっと工作好きなんだね」 二人の共通点
(そう言えば色んな物入ってるなぁ…)
中身こそ知らないが、常に多くの物が入ってる事をれいりは思い出す
「思ってたより仲良いんですね、二人」 ちょっと安心
「そうだね」
そこまでギスギスした親子関係で無かった事に笑みが零れた
「!」
ピタ
「どうした?」
立ち止まるいざない
「でかい草だらけで追えなくなった」 ししょーの姿見えねー
二メートルを軽く超える群草に阻まれ分からなくなってしまう
「この草はすぐ戻るんだ。歩いた跡も消えたみたいだし」
草を眺め地面を見ても歩いた形跡が全く無く、いざない達は立ち往生
「……レオ、先頭になって歩け!」
「え!?」
突然のご指名にれいりはびっくり
「こんな先も見えない所何で!?」
「お前の方が見つける可能性高いんだよ」
「で…でも先頭って!!?」
訳が分からずれいりは焦る
「では、いざない君を掴みながらでも」
「あ、それなら」
ジンホウの提案に納得し、手袋を取り出し装着するといざないの手を掴んで先頭に立つ
〈よし、行くぞ!!〉
「れいり君不安なだけですし」
「…」
いざないを引っ張り先を進むれいり達をポカンとしていさいは見ている
「続きましょう」
「…ああ」
いさいはされるがままのいざないを見続けた
「……いざない大人しいし」 借りてきた猫みたいだ
「大分落ち着きましたよ。特にれいり君に対しては」
〈どう行ったらいいの?〉
〈好きな様に進んでいい〉
掴まれるいざないはしおらしい返事。
二人のやり取りをいさいは困惑しやりきれない感を出している
「…ヴェレがなぁ……」 はあ
「少しずつですが今は慣らす事に専念しましょう。話はそれからで」
「そうだな…」
話は聞いていたが、いざ目の当たりにするとダメージが大きくがっくりと肩を落とす。
ジンホウが笑顔でフォローするもしばらく立ち直れなさそうだ
ザザザ
「あれ? 草が無くな…」
目の前が開け次の一歩が行きかけた
「!」
「沼に出ちまったか」
れいりは腕を引っ張られ次の一歩が宙に浮く。
寸での所で毒沼ポチャが防がれた
「プリセプス、無事か?」
どきどきどきどき
「…………うん…だいじょぶ…」 びっくりした…
目が丸くなり真っ青でかなり動揺している。
いざないは沼ギリギリの所で周りをじっと見た
「こっちにししょーは来てない! レオ、戻るぞ」
「…………うん」
一行は踵を返し違う群草を歩き出す
約三十分
ガサガサ ガサ
「中々見つかりませんねぇ」
「いざない、プリセプスが疲労してる。休ませたい」
れいりはずっと先頭で緊張を保ち歩き続けたせいか皆より疲労度が増していた
「分かった、五分休憩」
「じゃ、あそこの木陰で休むね」 ほ…
「木陰?」
繋いでた手を離し、一人れいりはガサガサ歩く
「この辺に木なんかねー…」
ちょこんと大きめの石に座り一息吐くれいりの側には大木が
「こんな所に大木あるし!!」
「どうやらここみたいですねぇ」
あった
「………」 今まで探してた時間は何だったんだ…
がっくり項垂れるいざないと驚くいさい、普通に見守るジンホウとソルム達にれいりは『?』
「れいり君、この木はいつから見つけてました?」
「探しに入ってすぐ目の前に。でも歩けって言われたので周り歩いてました。入口らしき物も無いし」
「……」 こいつは…
「いざない君、仕方ないです。れいり君には普通の景色です」
「…? この木が何か」
キョトンとして話すれいりに怒りを露わにしたいざないが静かに睨む
「入口に関係してるとみて間違いないでしょう」
「ええ!?」
「……ああ、どっかにある」 ししょーが消えてる
「一体どこに…」
「レオ! お前は動くな!!」
びくっ
「そうですね。休んでて良いので僕達のいる所を見てて下さい」
「……はい」
一緒に探そうと立ち上がったれいりを止める。
れいりは戸惑いつつ又座ると皆を見ていた
「…嬢ちゃんすげぇんだけど自覚ないのか」
「ええ。クエリーテ解除出来るのですが本人はその能力あると思ってません。言っても分からないでしょう」
探しながら尋ねるいさいにジンホウは笑って説明
「ですので上手く誘導して目を離さない様にしておかないと見失います。今回は誘導ミスですね、いざない君♪」
「…難しーんだよ扱いが」 違う行動ばっかだし
草を触り確認するいざないは疲れ切っている
「そういう所も含めて好きなんだ」 くすくす
「――っ!!」
「…」
不意に変な事を言われびっくりしたいざないは体が反り返った。
その後静かに探し続けるいざないの動きをいさいは物珍しげに眺めている
キラッ
「ん?」
いさいのゴーグルに光が反射しその先を追うと、違和感のある草が目に入る
「あったぞ!」
いさいの声に皆注目
「鏡か…」
〈こっちだ〉
「簡単な仕掛けですがこの辺では良いカモフラージュですね」
大きな鏡の裏から顔を出しいさいは手招き
「レオ! 行くぞ」
「うん」
れいりも立ち上がり皆の後を追う
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