マルー・クインクエ【辿り着いた先】・・・3
又々八つの入口に戻って来たいさい、れいり、ソルムの三人。
れいりは前屈みになり呼吸が荒い
「嬢ちゃんにはちときつかったなあ」
「……はい」 はーはー
いさいはれいりを見て困った様に笑う。
ソルムは心配している
「今の道が爬虫類で入口出口セットだな」 カシャ
携帯の折りたたみ虫かごに入れられた爬虫類を山と化した虫袋の横に置き、いさいは今出て来た入口を記録する
「さて、残りは三つだし」
「……」
「嬢ちゃんは残って俺一人でも良いが――」
残った三つをれいりはぐったりして眺めていた
「プリセプスが回復するまで休ませたい」
「なら俺一人で行ってくるし」
「えっ でも博士、地下の人に見つかったら…」
大問題じゃなかろうかとれいりは戸惑う
「…いさいは法が纏付いている、危険は無いだろう」
「えっ そうなの?」
ソルムの言葉にいさいは項垂れた
「俺はいらないんだが、あいつが勝手に付けるし」 分かる奴には分かるかやっぱ
「博士愛されてますね」 へぇ~
「何言うし嬢ちゃん!!」
何気ない一言に顔を赤くし大いに驚く
「危険回避もあるが大半は異性避けの法だ」
〈え〉
「……それも分かるのか」
法の種類にれいりの目が点。
その場に居づらくなったかいさいはそそくさと歩き出す
「ま…まあ、行くし…」
「…」
「――れいりさん!!」
洞窟外側から声が聞こえ立ち止まるいさいと振り向くれいり
「ただおさん!」
「すからさんもご無事でしたかっ」
「おっ マスク出来たか」
「はいっ マスクのお陰でこちらに入る事が出来ました!」
ただおが装着したマスクの出来具合にいさいも嬉しそう。ただおは礼をしている
「実は副団長と連絡取れまして、各入口に配置中なんです!」
「いざない無事だったんだ」
いざないの安否が分かりちょっと安心
「それで私はこちら側に…」
「あのきれーな兄ちゃんは別入口か?」
「…………それが………」
戸惑うただおが言葉を詰まらせる
「猛獣区域で偶然出くわした地下の人に…法を掛けられ連れて行かれました」
「!」
「……そりゃまた…」
大変な事が起こってた様で沈むただおにいさいは同情する
(まいちさんがさらわれ……)
れいりの中で何かが、飛んだ
(許せん!!) ゴオッ
燃え上がる気迫に何事かと驚くいさいとただお
だっしゅ
「れいりさん!?」
「嬢ちゃん!…そこ最初入った入口…」
脇目も振らずに一番近い入口に突進
ガチ
「!」
いさいの手首にいた鎖と他の鎖が繋がった
「俺もなのか!」
『みんないっしょー』
『おー』
「すからさん!!」
もの凄い勢いでいさいは引っ張られていく。
ただおは事情を知っていた為追う事はせず見送ったが、非常に困惑している
後方からは応援で暗の兵士達がやって来た
ガコ ぎょっ
鈍い音にいさいの顔が引きつる
「嬢ちゃん止まれ! スイッチとぶつかった!!」
ぶんっ ガキイン!
「…さすが従者だし……」
襲ってきた武器をソルムが鎖で粉砕。
れいりはそのまま突き進む
れいり達は先程召喚されてマモノが出て来た空間へと到着。そのまま真ん中まで行くとピタリと止まった
「…」←れ
じゃんぷ だん!
躊躇なくれいりは地面に刺激を与える
パカ
「!!」
ギョッとするいさいをよそに大きく穴が開き三人は落ちて行く
ひゅ~~~~~
「…」←れ
スカイダイビングの様にバランスを取り落ちるれいり。この間ずっと怒り目状態
すたっ
そして無駄の無い美しい着地
「…すまねぇ」
いさいはでかリュックを抱え衝撃に備えるも、ソルムの法でふわりと着地した
「……しかし嬢ちゃんなり振り構わねぇな」
「このプリセプスは止まらぬ故見てるしか無い」
洞窟の通路間に着くとれいりはキョロキョロ見回し“当たり”を探す
(ここだ)
だん!
再び地面に片足で衝撃
パカ しゃしゃしゃしゃしゃ
「もしかしてつえーだろ嬢ちゃん…」
細目の落とし穴を足を使いジグザグにれいりは器用に、そして素早く降りて行く
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