マルー・クインクエ【破滅の一歩】・・・2
「大体捕まったか」
「ええー」
「取れない!!」
「キィー」
この場にいる全員の捕縛を終えるといざないは大きく一息。
身動きできなくなった女達は喚いてパニックになっていた
「後はレオが正気に戻れば…」
れいり達を見たいざないは、その後ろを見てハッとなる
「ソルム!! レオを戻してくれ!!」
「お…おい」
そこを見てたいさい、見えた女達も目を丸くした
「レオ!! 落ち着け!!」
れいりは未だ狂戦士
「んな奴が暴れたら崩れるぞ!!!」
ソルムも後ろを見た。
いさいは言葉を失い、どんどん合体していくクーペレを見続ける
「戻れ、大バカ!!」
ピク
「何お―――!!!」
ぶんっ
悪口のみに反応したれいりの怒りが増すと、重たいクーペレの一発が襲ってきた
「お前が挑発してどうするし!!!」
「しまっ」
時すでに遅し
ズン…
変化界が大きく揺れ、驚いた生物が悲鳴を上げてその場から逃げて行く
「……」
幻獣の森にいたカウザとビイスも揺れを感じ取り、カウザは変化界の方向を見ていた
ドドドド ガラガラガラ
「足は自由だ! 走って逃げろ!!」
部屋の天井や壁が崩れ出すと女達は騒ぎながら逃げて行く
「ウルビスーブテラが……」
「やはり魔性が原因で災いが…」
「……」
岩で埋もれて行く部屋を三帝柱は愕然として見続けた
「レオ、謝るから正気に戻れ!! 生き埋めになっちまうぞ!」
ゴッ
「まだ戻んねーのかよ!!」
「……よっぽど頭来たんじゃないか」
砂埃と落石の間かられいり達がいる方向へ声を掛けるもクーペレの一撃がやって来た
「ソルム!!」
「プリセプスの力量がどこまであるか見たい」
「んな状況で!?」 ぎょっ
「……恐怖すらないし」
平静なソルムと驚くいざない。いさいは解説者に回っている。
そんな混濁した中、れいりの背後から忍び寄る手
「少し落ち着きましょうか、れいりさん」 ポソ
「!!」
『あ、まいまい』
後ろからそっとれいりを包み頬を指の腹で優しく撫でる。
驚くれいりと頭にいた鎖は目前にいるまいちを眺めていた
ピタ ボトボト ボタ
「副団長、止まりました」
「……ども………つーか、目覚めてたんすか」
「元から目は覚めてました」
石化状態のれいりを支えいざないと会話をする
「団長の情報が入らなかったので、偶然出会った地下の方に法が掛かったふりをして入り込みました」
「まぁ、あれは精神力強えとかかんねぇしな…」
言われて納得
「ししょーは程の居住区にいるんだ」
「分かりました」
ハッ
(まいちさん……良かった)
元に戻ったれいりは三帝柱の所へ歩いて行くまいちを見て胸を撫で下ろす
「お尋ねします。程の居住区はどの道ですか?」
「魔性にこれ以上荒らされてたまるか!!」
「どの道ですか?」 じっ
「この先真っすぐ、左、左の上登った所よっ」
「アウク!?」
「何で!?」
「……」
アウクに顔を近づけ見つめるまいちに即落ち。
いざない唖然
「とにかくレオがぶっ壊したこの部屋から出よう」 間も無く潰れるぞ
〈え?〉
「覚えて無いのか…」
何の事か分からず身支度を続けるれいりにいさいは冷や汗
「…俺はゴロン連れて帰るし」
「!」
「行くぞ」
防御してたリュックを背負うとゴロンの所へ行き出口方面へ歩き出す
「ホレ、何してるし?」
「…」
ゴロン自身素性がバレてる感たっぷりだった為、身動き出来ずに待ついさいを見ていた
「副団長――!」
「!!」
罠の道を乗り越え、ただおと暗の兵士がやって来る
「ただお、その二人外まで連れて行ってくれ」
「はい」
いざないはただおにいさいとゴロンを任せた。
拘束されている地下の住人の所へ行く兵の一人がゴロンに気付く
「Tはいたか?」
「いえ、マルーに戻ってます」
〈ただお、兵がゴロンに近づこうとしたら従者って言っといてくれねーか〉 ヒソヒソ
「えっ……はあ」
意味は分からないが、ただおはいさい達を引率して歩いて行った
「行きましょうか。すからさん、ゴロンさん」
「おう」
最後尾のゴロンは挙動不審に陥っている
(――ま、助けられたしな。今んとこあいつも無傷だし大丈夫だろ)
「いざない様、今の者…」
小さくなるいさい達を目で追いゴロンの事を把握したいざないは安穏としていた
「従者だとさ」
「そうでありましたか」
兵士は納得し敬礼
「様!? もしかしてあなた偉いの!?」
「教えなさい!」
「……」
耳に入ったマーニャとアウクが喚く
「言葉を慎め! 暗世界を治める女帝のご子息、プリセプだぞ」
「え!?」
「何ですって!! そうと知っていれば!」
「きぃ~~~~~~」
「何ベラベラ言ってんだ」
兵の口の軽さにいざない困惑
「やっぱり偉いの?」
「現時点では頂点を治める女帝の子だ。そうなるな」
連行される地下の住人を外目で見てたれいりとソルム。鎖はれいりから離れソルムに全員集合した
「何かピンとこないなぁ」
「プリセプスも同じ格だ。当然だろう」
「さっさと行くぞ!」
程の居住区へ向かうまいちに付いて行くいざない。世間話をする二人に怒っている
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