マルー・クインクエ【逃走】・・・1

コンビ派メンバー、りん(姉)とらん(妹)が人気の無い裏通路を見回っていた
「こっちには誰もいないかなー」
「うん。せんぱいに伝えよー」
預かった連絡機を操作するりん。らんはその間少し離れて何か無いか探索している
〈えーと〉
手こずるりんの背後から人影が現れそっと近づいた
〈初めてで使い方わかんなーい〉
人影の右手には穴が二つ開いた異様な面。左手を伸ばしそーっとりんの肩を掴もうとする

ガッ

「それは異物ですね」
「…………ジ…」
右手を掴まれ聞こえた声にハッとなる
「おや、僕の事を知ってるのですか。僕はあなたを見た事無いと言うのに」
「……」

「あ、せんぱーい!」
たっ

連絡が繋がったりんは背後に気付かず走ってらんの元へ行く
「恐ろしい異物ですねぇ。予想しますとそれを着けられた者の姿と記憶を奪ってしまう――と言う感じでしょうか」
人影は笑うジンホウに固まったまま動かない
「持ち主のあなたは死ぬまで他人の人生を奪いすり替えて生きる訳だ」
人影を捕まえた事で確信したジンホウは流暢に説明をしている
「本当のあなたの名は知らないのでこう言っておきましょう」

「ディレイ夫人♪」 くすくす

「……」
「しかしあなたもやりますね。発明から逃げる時すでにすり替わっていたのでしょう?」

〈手伝ってー〉
〈こっちこっち〉
表では建物から出て来た一丁達を呼ぶ声。
いざないは『あいつ(ジンホウ)どこだ?』と周りを見ている

「自分本位の貪欲さは嫌いじゃないですが、この辺で潮時でしょうか」

キャッ
〈らん!!?……ひっ〉

「?」
りんとらんを捕まえた二十人の男が銃器を持ちジンホウの前に現れた
「ガウン! こっちだ」
「男! ガウンから離れろ!!!」
無理やり動かされ足を挫いたらん
「離さねえとこいつら死ぬぞ!!」

ザクッ
「~~いたっ!!」

「やめて!! らん!!」
狂気付いた一人がらんの腕を切り裂いた
「多いですね…分が悪いかな」 ぱっ

捕まえてた腕を離すとガウンは急いで面を顔に付け男達の所へ走り出す
「ガウン! 別洞が通じた、行こう!」
「ええ」
「来い!」
「らん…」
男達とガウンは逃げ道へ向かい、人質としてりんも連れて行かれる
「……出血が酷いですね」
左腕を切られ涙をポロポロ流し、らんは震えていた
「れいり君は……あそこですか」
三帝柱が来る入口で立ってたれいりを見つける。
どんなに小っちゃくても存在感のある髪がある為見つける事は極めて容易い

ピタッ
「ガウン?」
ガウンの足が止まる
「ジン、一緒に来ない?」
五・六メートル離れた所から振り返りジンホウを勧誘
「私はあなたを買ってるのよ。あなたの思考は陽の当たる所では似つかわしくないわ」
「おやおや」
ジンホウは笑みを浮かべながらアタッシュケースを開き道具を探す
「僕それ(香水)効きませんよ」


パッ
「ダイヤ君?」
れいりの前にダイヤが現れると、ダイヤは後ろと前を何回も見て慌てている


「その様ね。だからこうやって話してる」


「付いてこいと言ってる様だ」
「えっ…でもここ空けていいのかな…」
「蓋をする」

ぶん! ガラガラガラ

「!」
ソルムが鎖で上の岩を砕き入口が塞がった
「待って、ダイヤ君!!」
大きな音に驚きながらも先に進んでいたダイヤの後を追って行く


「それにね、あなたとが一番楽しかった。あなたといる時だけ自分が何者なのか忘れられたわ」
ガウンはジンホウといた頃を思い出すと目を細め寂しげに笑う
「喜んで貰えて何よりです」
らんのケガの手当をし、笑って返答するジンホウの前に銃口と剣先が並ぶ
「僕の返事は必要無さそうですね」
「立て!」
「すぐ助けが来ますから」
男達とガウンはジンホウも連れて逃げ道へ歩き出した
「……りん…」


たたっ
「――! コンビ派の方ですよね」
「あ…こうですさん」
遅れること数分、ケガをして蹲ってるらんを見てれいりはハッとした
「ダイヤ君少し離れてて、アンジェルサラス!!」
七色の光の羽が現れ、らんが回復していく
「ありがとう…りんを助けなきゃ…」
「何があったんですか?」
体力も戻ったらんが焦りを現して立ち上がる
「二十人近い男の人と一人の女の人に姉のりんと小さな眼鏡を掛けた背の高い男の人が連れて行かれて」

(ジンホウさんが――…!?)

れいりの瞳が鋭く光る
「あなたは皆に伝えて下さい! ダイヤ君、案内して!!」 ぴゅん
「でもっ 危な…」

もういない

「……」
らんはれいりの軌跡を追った後、広場へ走り出した


「ここだ、入れ!!」
「…」
突貫で作られた大人一人入れるくらいの洞窟を前に、武器を当てられたジンホウとりんが先だって歩かせられる

じゃんぷっ くるくるくるくるくる

ジンホウ達を見つけたれいりが大きくジャンプし高速回転。何事かとソルムとダイヤは目で追った

どかっ

「!!?」
洞窟の上部をれいりの渾身を込めた蹴りが直撃

ガラガラガラガラ

洞窟が呆気なく崩れ塞がった。
一瞬の出来事に男達もガウンも目が点
「ジンホウさんをはぁなぁせぇ~~~~~」

びくっ

鬼気迫るれいりの圧に男達の身が竦む
「妖怪!!」 ドンドンドン
「撃てっ!」 ドンドンドン
こぞってれいりに銃が発砲

「!!」

もちろんソルムの結界で当たる事は無い
「法の様な威力のある武器か」
珍しい物見たがりのソルムは男達の持つ武器を遠目で見ている
「まさかれいり君自ら来てくれるとは」

〈もう大丈夫だよ〉
〈はい〉

「嬉しいなぁ❤」
いつの間にか拘束から離れ逃げていたジンホウとりんに男達はギョッとした

「香水の人……」

「そうだね」
まだ狂戦士一歩手前のれいりが、見覚えのあるガウンに気付く
「…ジンホウさんは種馬にされそうになって連れてかれた…?」
「えっ? うーん……」
りんは動揺しつつ先に皆を呼びに駆けて行く
「連れて行かれたらそうなってたかも♪」 子供は別として
間違ってはいないだろう意味深発言を軽く笑って言っている

(させん!!!)
「イリジペラス!!!」
ボボボボボボ

れいり第二のぶち切れ発動。
目の前の輩は特大サイズの火の塊を見て吃驚した
マルーらくがき71.jpg

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