マルー・クインクエ【三世界大会】・・・3

――午後

「マツドてん五師、マルーといたって聞いたが何で?」
戻って来た二人のてん五師に追及するヘッド
「口説いてました」
「ふーん、ならいい」
〈え…〉
両端に並ぶ女衛兵がてん五師を見て驚いた

カチカチカチ

「…」
しれっとして立ってるてん五師を見るいざない

《マツドてん五師ですからねえ》
《半分嘘、半分本当だろ。結論は個人的な事ってだけさ》
ヘッドと弟は性格を知っている為大した反応は無い

二戦目は綱引き

両者引いて引っ張られの大盛況で最終的に衛兵が圧勝した
「おー、やったなー」
ヘッドの声と共に、メイズ三も会場を見て嬉しそう

三戦目、リレーが開始

精一杯走りきる近衛と衛兵に、熱い声援で会場が埋め尽くされている
(……運動会だなこりゃ)
傍観中のいざないは、良くある年間行事に心の中で突っ込む。
リレーは近衛が勝利。観客に笑顔で挨拶すると女子達の目がハートと化している

四戦目は壁を間に挟み押す対戦。
こちらは衛兵の勝利で幕を閉じた

「ふーん、健闘したなー」
「はい、今日の競技は終了です」
「うちん所は力任せが多いのか。帰ったら別プログラムも入れとくかー」
「はい」
やる気の無い語りだが言ってる事はまとまなヘッド
「統者、発明の弱い部分も見えた。勉強させて貰ったよ」
「役に立ったか、こちらも色々と分かった。感謝する」
混溶と発明は各々足りない物があったらしい。
ヘッドと弟は衛兵と一緒に部屋から出て行った
「ただいま戻りました」
「おお、皆良くやった❤」
帰ってきた近衛に愛嬌を振りまく統者
「変化界の皆様、お部屋へご案内します」
だがすぐ次の仕事に取り掛かると若と長を連れて行く
「明日はマルーとだ、ワシは出られぬが負けたら腕五日間使用不可だ」
後ろにいる二人を見据える
「心してかかれ。ひじお、よつじ」
「はい!」

〈うで!?〉
(相変わらずえぐい罰を…)
「いいね、その厳しさ❤ ほれぼれする」
部屋から出て行く若達を目で追い、ギョッとするマルー人員と困惑するいざないと喜ぶ統者
「よし六人! オレ様の部屋で打ち上げだ!!」
「!?」
「えっ!?」
油断してた四人のマルーは統者に掴まれびっくり。
さりげなくまいちは計測器を近衛に見せている
「何、緊張するな。優しくしてやる❤」
「!?」
引き込まれた六人(まいち以外)は怯えて混乱
「統者、予算オーバーしてます」
「何!?」
四人分一気に増えた事を確認する近衛
「借金する事になりますが」
「借金はダメだ!」
「おつ様でした!!」 行くぞお前ら!
「おす!!」
「はいっ」
「でした!!」
「オス」
動揺した統者の隙に、いざない達(全体派員二人、頭脳派一人、風切り派一人、他まいち)は部屋から逃げ出した


――宿泊する宿の廊下

走りきったマルー達が息を切らして前屈みになっている
「あの…参謀長、俺達の報酬ってどうなってました?」
「最後に掴まれましたので、+2入ります」
※初触り2
「!!」
「あれだけで!?」
「すごい…欲しい本あったんです!」
「ぼくも…欲しい物が」
「恥ずかしながら自分も…」
予想外の額に四人は騒然となった
「ずっと掴まれてた副団長と参謀長はどれだけ入ったのだろう」
「さすが幹部…」
解散となり先に部屋へ向かう二人を羨望の眼差しで見つめている。
ただ、いざないは異様にぐったりしていた


「二人ともごくろう! よく耐えきった。明日に備えて早めの就寝と行こう」
「はい」

ピピ…

笑顔で二人を出迎え労う一丁。
ただおは着信音が鳴り確認している
「三人の令嬢が来てるので、挨拶に行って来ます」
「早々に切り上げて戻って来るのだぞ」
「はい」
ただおは出て行き、いざないは畳の部屋に置かれている弁当に手を伸ばす
「布団敷きましょうか」
「まいちが食べてからで良い良い」
「はい」
「どんな種目が来るのやら」
いざないは明日参加する種目を思い、隣に座ったまいちも弁当を手にし、遅めの晩ご飯を食べるのであった

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