マルー・クインクエ【三世界大会】・・・8
四の課題に到着
「御簾中は指示を!」
「分かったぇ」
「さよんは上で」
「うん」
「どっちでもいい」
「じゃ、自分が」
バタン!
「イソネ、教えてくれ」
「はい」 だっ
バタン! バタン!
「オレがやろう」
「私はこちらですね」
「これは私がやりますので」
「あい」
各部屋同時に開始。何か重い物が倒れる音が響く
バタン! バタン!
「こちらで開始して下さい」
近衛の案内の元大きな倉庫へといざない組が向かう
[課題四、神経衰弱・制限時間三十分]
一枚五十キロの巨大カードで行う。
指示する側とめくる側で別れて挑戦せよ。
間違った場合手動で戻してから再開
「レオ! 登ってどんどん言え!! 俺がめくる」 そっちの方が早い
「…うん」
とんとんとカードを見ながら見張り台へ
「…ねえ、ひっくり返す意味ってあるの?」
「いいから!」
理解出来ないれいりを制する。
カードは横列1~8、縦列はA~Hと描かれ64枚並んである
「Aの7とAの5」 ?
バタン バタン ピンポーン
訳が分からぬもれいりは言い、いざないがひっくり返していく
「Cの5とBの2」
バタン バタン ピンポーン
「Gの4とHの3」
バタン バタン ピンポーン
「え…」
「外さない…!?」
会場がざわついた
「試し開きもしないで?」
「え…何故?」
ざわ ざわ ざわ
〈こうです…〉
〈すごい…〉
信じられない光景に目を見張る
「当然ですわ。私が唯一認めたギャンブラーですのよ」 ホホ
扇を揺らし得意気なモンタニ嬢
「ほう、れいりにはその様な能力があったのか」
「あの娘っ子の独壇場じゃ」
若と長もれいり達に注目
「おかち、良い人材いるじゃねーか」
統者は普通に楽しんでいる
《気付いたかあの二人組、一度もミスしねーでジワジワ上がってんの》
《はい》
出発からのいざない達を振り返り分析するヘッド
《ヤバイ奴らマルーにいんなぁ》
《そうですね》
《見てる分には面白いが》
《笑えます何かあの二人》
顔には出ないが相当面白がってるらしい
ノーミス クリアー
倉庫内に終了の音声が流れた
「行くぞ!!」
「うん」
(変な課題…)
すっきりしないれいりを担ぎ次の課題へいざない組は走り出す
ざわ! おおっ
「いいぞーマルー!!」
「一位になった!」
「マルー」
声援が飛び交う
「楽しかった❤」
「副団長殿があんな遠くに!!」
おおおおお!
二番手に課題四を終え出てきたどしや組に驚いた会場は騒然となった
「最下層が一気に来た!!」
「つちの君すごいですう❤ 今すぐお嫁に行くですう❤❤」
「お嬢様大声で何をおっしゃってます!」
「何も言ってないわ、ばあや」 はっ
まりもはどしやの雄姿に惚れ惚れし声に出すも注意され我に返る
「そのまま行けー」
観客も熱が出始め活気づく
「団長、抜かされてます」
「急ぐぞ」
「はい」
三番手に出て来た一丁組
「キャ―――」
「もっと映って―――」
「…」
まいちが画面に映ると黄色い声で観客の声が消された
「走れるか!?」
「…ああ」
四番手に出て来たひじお組。
パートナー、ショウジョウの腕がプルプル震え動きが鈍い
「さすがに疲れが来はじめました」
「大丈夫ぅ?」
「ええ。走ってれば落ち着きます…多分」
五位として出て来たただお組。
ただおは腕を揺らしながら走り始める
「腕はあまり使わんからな…」 加護がオオカミ
「すみません…」
ミオカ組は六位。
めくる側を担当したパートナーは腕のダメージが響いている。
一方倉庫では、らいたが呼吸を乱し辛そうにカードをめくる姿があった
バターン
ひっくり返し数字を見るが全然違う
「…ご…ごめん」
「大丈夫だ、次は…!」
今めくったカードを戻す作業に取り掛かる
ヴー
「え!?」
戻し終わる頃、時間切れのブザーが鳴った
「…らいた、失格なった……」
「いやいや、走ってくれてありがとな。さよん」
その場にへたり立てないらいた。
汗だくで疲れ切っていたが、その顔はすっきりし笑顔だった
パチパチパチ
会場内では健闘したらいた組に拍手が向けられる
「ミスの多さに体力が奪われたか」
腕組みした若は厳しい顔をし溜息を漏らした
ヴー 失格
「よつじもか」
「あやつ…」
失格の音に怒
「よつじはまだ余裕がありそうじゃが」
「ツウのミスが大きいな…」
「ごめんな。同じ所何回も開けさせたなぁ…」
「いえ、めっそうもない!」
後頭部に手を添え愛想笑いの御簾中
「残るは六組、マルー優勢ですね」
「ねえ、ふと思ったんだけどソルム氏は」 れいりの能力も凄いな…
コンシルムは読んでた本を閉じ、後半に入った障害物競走を一緒に見始める
「一緒に走ってますね♪ 従者だし」
「…本当に?」 うわ…
「ま、いざない君が担いで走ってるので手助けは無いでしょうし、これくらいの距離は楽勝でしょう。ソルムさんなら」
「戦人凄いな…」
いざないが走行中に時々ソルムは声を掛けている
『プリセプス、苦しかったら体勢を変えて貰うと良い』
「うん、そだね」
「走ってる時以外は話しかけと現れんの止めてくれよ…」 映されてるから
いざないの数メートル後ろを走っていたどしや組が背後から近づく気配に気付くと口角が上がった
「団長殿!」
「どしや! そうか、Dをパートナーに選んだのか!」
「はいと!」
ディックは『やっほー』と挨拶
「…………れいりちゃん!!?」
どしや達の先に漂うフワフワをロックオンされるといざないはビクついた
「いざないはれいりちゃんか……」 だっ
どしや達を敏速に追い抜きいざないの横へ
「…………あの紙が……女限定だったんす…」
歯切れ悪く説明する
「…ならば仕方無いのぅ……」
「…うす」
疑う様なジト目でいざないを見続ける一丁にいざないは目を伏せ困っている
びゅん!
〈ぬっ〉
ひじお組がだべり中に抜かしていった
「団長、行かないんですか」
「俺はこのペースで走るんで…先行って下さいす」
「………」
まいちといざないに言われるが、小さくなったひじお組といざない達を見比べては考える
「…課題地点はすぐそこだ。時には力を抜くのも必要!!」 髪のなびく姿もまたビューティーだのぅ
「…」
と言う事でいざない達と一緒に走る事を選んだ一丁は少し下がってれいりを見ながら❤状態
「そうか! れいりちゃんは飴だったか! 白い粉もまた風情がある!❤」
「はあ…」
褒められてもピンと来ない。
不思議そうに一丁を見てたれいりはその横を走るまいちへと視線が移った
(まいちさんの整った顔が……!! 風に撫でられ何て美しい…!!!)
「れいりちゃん…」
まいちはただ黙々と走ってるだけ。
到着までれいりはひたすらまいちをガン見していた
この記事へのコメント