マルー・クインクエ【放浪者】・・・2
ホテルの一室
「いざない君には伝えました。忙しい様でしたがすぐ来るでしょう」
「すみません。いざないに悪い事しちゃったな……ジンホウさんには部屋まで用意して貰って…」
先にれいり達が部屋へ入り、ジンホウがやって来たので出迎えている
「れいり君が困ってれば仕事投げても来ますよ彼は❤」 いえいえ、外よりは良いと思っただけで
「……そうでしょうか…?」
いざないがそんな事するだろうか的な疑問を持ち首をかしげる。
れいりの言葉に肯定も否定もせず笑顔のままジンホウは連れて来た三人の部屋へと歩いて行く
「あなた方がイルミナーズXですか」
〈ひっ〉
「ちょっと興味あったんですよね❤ 暗だったとは驚きです」
新たな顔に三人は強張り男を中心に縮こまる
「怖がりなんですか?」
「…ずっとあんな感じで」
「別に取って食べませんから怖がらないで下さい。お腹空いてませんか? 何か注文しますよ」
ジンホウはにこやかにメニューを見せ片手に連絡機を持つ
「三点盛り一つ!」
「特盛りスープ付き一つ!」
「パフェとアイスと揃い丼!!」
「はい♪」 ピッ
〈お腹空いてたんだ…〉
身を乗り出しガン見。
言われるままジンホウは注文していく
ガラガラ
〈失礼します〉
「何だ? メシ?」
やって来たいざないは食事を運ぶスタッフとすれ違いに部屋へと入る
「おい」
「あ、いざない。ごめん、呼び出して」
「困ってるって何?」
「じゃ、食べ終わるまでこっちで説明するね」
奥では椅子に座ったジンホウがニコニコしながら食べているのを眺めている。
いざないからはジンホウしか見えず、れいりに促され別場所へと向かう
「久々にまともなごはん…」
「ごちそうさまでした」
「おいしかった…」
食事を平らげ満足した三人は目を瞑りホッとしていた
「では改めて彼女の前に現れた理由をお聞かせ願いませんか?」
「……!」
少し落ち着いた三人の内、肩まで髪がある女が、ジンホウをまともに見るなりハッとなる
「インクイジトレム様の血!!?」
「おや」
「インを知ってるんですか」
「え!? い…いえ……一回だけ会った事が…」
女は顔を赤くし首を横に振る
「フトゥの初恋の人だ!」 じー
「…」
「これ!!」
髪を結う女が笑って言うと動揺する肩まで髪のある女(フトゥ)。
真ん中にいる男は真面目顔でフトゥを見ている
「昔のインってどんなでした?」
「それはもうすらっとしてて親切で、とても優しくて非の打ち所がないくらいステキでした」
「今のインも優しいですよ」
「まあ❤」
フトゥは怯えてたのが嘘の様に段々饒舌になっていく
「変わらずステキなんですか」
「はい」
フトゥは『まあ❤ まあ❤』と心が躍り両手で頬を押さえながら顔を赤らめ喜んだ
「一度と言わず何度も会えば良かったのに。案外押しに弱いですよ、イン」
「いたんです! インクイジトレム様の事が心底好きな人が部下に!!」
世間話に花が咲き、れいり達の所まで聞こえてきた為二人は呆気に取られている
「へえ、その部下の人と付き合ってたのかな」
「…」
ワクワクしながらジンホウは面白がって聞いていくが、フトゥの言葉が止まり静かになった
「いえ…信頼関係で結ばれてました」
「…その人、程になった」
「え?」
髪を結う女の言葉に頷くフトゥ
「その子をインクイジトレム様が面倒みて……」
「…」
「あなたの血まで続く…血は四人いる」
フトゥの言葉にジンホウも真顔になる
「そういう経緯でヘレデムが混ざりだったんですか…なるほど」
理由が分かり納得すると笑い出す
「それにしても見事ですね。イルミナーズX…いえ、イクシルミナス族ですか」
「透視の一族、情報が暴かれ放題です。権力者が手に入れたくなるのも分かります」
頬杖をつき怪しい笑みに変わると三人は青ざめていく
「あなたは思考が怖い!!」 ひいぃ
「大丈夫ですよ、実行しませんし。色々考えちゃうだけです」
「…」←ソ
顔を埋め怖がる三人。
読まれたジンホウは頬を染め照れ笑い。
近くにいたソルムがジンホウを見ていた
「いざない君、説明聞きました?」
「ああ。結局暗なら一層行くしかねーだろ」 ピッ
「まって! その前に話くらい…」
連絡機を取り出すいざないを止めるれいり。
また新しい人が来た事にビビる三人は、いざないを見ると混乱しだす
「女帝!!?」 びゃあああああ
「は?」
「この人の気配が一番怖いいいぃ」
急な叫び声にいざないの動きが止まった
「後ろにいるうううぅ」 びゃああああ
「やめてくれ!!」 ぞっ
「笑ってるうう~~~~~」
異様な怯えを見せる三人。
恐ろしい言葉にいざないの背筋が凍った
「いわゆる生霊でしょうか」
「おいっ!!」
「ひいっ」 いき!?
ホラーな流れにれいりも腕で体を巻き震え上がる
「ちゃんと寝れてます?」
「………真顔で言うな」
探る様なジンホウに身が竦む
「女帝なら思念を飛ばすのも造作ないかもしれぬ」
〈ひい!!〉←れ
「……あの人化けもんかよ…」
「怯えちゃいましたね」
ソルムの追言になお怖がるれいり。
三人は背中を向け中心で蹲っていた
「まあ、テネヴさんに話す前に何故れいり君に近づいたか聞きましょう」
「……」
連絡するタイミングを逃したいざないは渋々機器をバッグにしまう
「イルミナーズXの皆さん、彼の周りは怖いかもしれませんが本人は怖くないのでこちら向いて下さい」
言われて怖ず怖ず髪を結う女がいざないを見る
「…カレ、フトゥ……大丈夫みたい…」 周りは怖い
(ふーん、そばかす美人じゃん)
「あの…ありがとう」
いざないの何気ない心の感想に髪を結う女は礼
「……」
〈本当だ…〉
〈うん〉
三人は伏せてた顔を上げ皆に向き直る。
いざないは読まれた事に汗が噴き出し固まった
「やりにくい!!」
「可愛いとか思いました? 可愛いですね彼女」 いざない君好きそう
「!!」
三人から離れ距離を取るとジンホウの冷やかしにビクつく
「何故それをプリセプスに言わぬ」
「わ゛―――!!」
ソルムの一言にギョッとした
れいりは机に両手を添え膝をつきながら『生霊…』と呟きまだ怖がっている
「すみません、脱線ばかりで。まずはお名前からお聞かせ下さい」
「カレント」←真ん中の男
「フトゥーレ」←肩まで髪がある女
「プレイテリトゥム」←髪を結う女
「三人は家族でフトゥは妻、プレは娘」
一人一人名前を言った後、カレ(カレント)が説明する
「三人はずっと探してた…」
「何を?」
〈私には見えないけど…“いる”んだよね〉
〈やめろ!!〉
「安住の地」
話を聞いているのはジンホウのみ。
れいりは身震いしながらいざないを観察
「暗はダメでしたか」
「……あの地は…いずれ…」
カレは俯き悲しい表情に
「……失われると出てるのですか」
「……」
「未来は不安定、数多くの分岐が存在する。確定してる未来もあるけど定まらない未来はきっかけ次第で大きく動く時もある」
カレの代わりにフトゥが話し出す
「きっかけが元で動く分岐を一族では“コンピタルスの分岐”と言っている。暗世界は分岐する可能性も少なからずある…けどこのままでは……」
落ち着いた所でいざない達も話に加わる
「…それを見たのはいつ頃ですか?」
「…大分前」
「もう一度お願いします。分岐してるかもしれません」
「!」
「…フトゥ」
「…うん」
ジンホウの言葉にカレがフトゥを促す
「先を読むのは少々時間が掛かる…カレもプレも出来るがフトゥが一番鮮明に現れる」
フトゥは二人から数メートル離れ、背中を向けると正座し集中。
代わってカレが話し出す
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