マルー・クインクエ【放浪者】・・・4

「貴重な話が聞けて楽しかったですが、そろそろ本題に行きましょうか」
ジンホウのコートが置かれている机から動く気配にカレは目ざとく発見し驚いた
「ここにもポーヌス・フォルトゥーナレポーレム!?」
「え!?」
「え?」
釣られてポケット部分を見るフトゥとプレ
「そう言えば先程の話にも出てきましたね。“幸運のお守り”とは何でしょう?」
「ダイヤの事だろう」
「ダイヤ君?」
身に覚えのあるソルムに言われジンホウはコートのポッケに手を入れる
「へえ、幸運のお守りですか。ステキですね」 ダイヤ君♪
「ダイヤ君ネットの中にいる」 かわいー
「今はこれがお気に入りらしくて」
みかんを入れるネットの様な網袋に各自固定し目を開くとれいり達を見ている
「~~~~~~」
カレが話しかけると、小さなお目目をパチクリさせ何か言っている様な雰囲気に変わった
「会話出来るんですか」
「はい。鎖とも話してました」
「それはすごい」
引っ込んでたいざないも気になり様子を窺う
「いつも優しいって」
「ポーヌスが言うなら……」
「危ない事進んでやるから心配だって」
三人は目を合わせ頷く
「それと、移り気激しいからいつも見てないとって言ってる」
「ダイヤ君…僕そんなに浮気性ですか」
苦笑いしダイヤを見るジンホウをじっと見つめる
「ポーヌスは人柄が良いだけでは一緒に行動しない。もう一つの条件は豊富な食料だ」
「そう言えばジンホウさん、良くダイヤ君と鉱石の山に行ってますね」
「ええ。ダイヤ君が喜ぶの見るの好きですし」 ね、ダイヤ君
ジンホウの言葉にダイヤは顔を赤らめる
「最初はTに懐いたって言ってたろ」
「元々テネヴさんの庭にダイヤ君が住み着いたとかで」
部屋ギリギリまでやって来て参加するいざない
「最初にいたのがポーヌスで、後から庭が出来た言ってる」
「あれ、そうなんですか」
プレがダイヤの言い分を通訳
「住処がきれいになって、食べ物も増えて良かったって。どんどん食料増えたって」
「……」
Tに言われインが庭にどんどん飾り石を置いて行く様子が視えたいざないは無言
「毎日…この人が最初の人?」
「うん…………プリセプ!?」
「え!?」
出て来た人物に驚くフトゥとプレ
「その…プリセプが食べた跡の食料みて喜んでたって」
視えた情景では、面白い形になった石達を『今日も素晴らしい出来だ』と褒めるTと引いてるインがいる
「時々目が合う事もあったけど、驚く事もしないで又食料置いてったって」
気配を感じ振り向くTとびっくりして石陰に隠れるダイヤがいる
「なるほど、変わってく石の形に美しさを見たんですね。テネヴさんですねぇ」
「…」←い
笑って納得
「ある時、庭に危険な人が侵入してきてプリセプがケガしたから咄嗟に出たって」
襲って来た暴漢にダイヤは盾となりTを守った
「そこから気になってこっそりいる様になったって言ってる。しばらくは消えて姿出さない様にしてたって。ポーヌス恥ずかしがり屋」
その後、度々Tを守っては消えての期間があったらしい
「そうでしたか。元々はテネヴさんから預かってる身ですし、心配性なんですね。ダイヤ君て」
ジンホウは視線を合わせ、慈しみの瞳でダイヤを愛でている
「今はあなたが一番危険な道行ってるって」
「そこまで危ない事してるとは思ってないんですが」
終始苦笑しているが、れいりといざないは戸惑っている
「ですとソルムさんも大量の食事があって鎖君がいる様になったんですね」
「分からぬ」
「へ?」
「食料を与えた覚えがない」
ソルムの返事にれいりは間の抜けた声が出る
「鎖君、法を食べるから必要なかったのかな?」

「~~~~~~~~」
『えっ』
『ソルソルとの出会い?』
「~~」
フトゥが話しかけると鎖の目が開いた

「ケンカなる前に戻りましょうか」
サッとダイヤ入り網袋を掴みポッケにしまう
「住処に果物大量に置いた言ってる」
鎖の思考では、数十個の果物がボトボトと落とされ、走って行く二人を不思議そうに見ている
「やっぱり食べ物あったんじゃ…」
「いや、与えていない」
「じゃ、その果物って…」
「………」
「ソルム?」
思い出せないソルムは顎に手を添え考える
「……鎖の住処、山の中みてーだぞ…」
鎖の思考が視えたいざないは助け船を出すと、フトゥがいざないに視線を移した
「山にはよくプリセプと特訓に行った」
山と言うキーワードに引っ張られ当時の事が蘇る
「何日もいる故食料も持ち歩くが果物の時もあったかもしれぬ」
「ではその食料を置いた場所に鎖君の住処があったんでしょう」
「所々に齧り穴があったが、私もプリセプも小動物だろうと気にせず食べていた」
少しずつ引き出される記憶に疑問が埋まって行く
「鎖が食した跡だったか」
『そーだよー』
返事する鎖。
れいりは肩の力が抜け軽く微笑んだ
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「と言う出会いで一緒にいる様になった言ってる」
『ソルソルの法食べて増えたの!』
「…」←い・れ
「ソルムさんらしいですね」
呆気に取られるいざないとれいり
「フトゥ達はポーヌスと友達にはなれるが、一緒に行動は出来ない。一族はその日暮らしで食料が確保出来ないからだ」
三人はダイヤと鎖を見ている
「だから一緒にいる人を見てとても驚いた」
「そうでしたか」
ポッケに入れられたダイヤはスヤスヤ眠っていた
「もう連絡していいか?」
「!」
「あ、待って下さい」
区切りを見つけ、いざないは連絡機を手にする
「まだ何か聞く事あんのかよ」
「無くなってしまう場所に連れて行くのは彼らにとって苦痛だと思うんです」
いざないの動きに怯える三人
「じゃ、何か? 程に置いとくって言うのか!?」
「いえ、三層にひとまずいて貰うと言うのはどうかなって」
ジンホウの提案に渋い顔
「…結局面会あるし暗だって分かるぞ。暗が二・三いる時は許可いるだろ」
「でもいざない君からテネヴさんに伝えたら罪人扱いでしばらく暗で牢にいる事になりますよ」

〈びい!!〉

怖い言葉に濁った悲鳴を上げ震え出す
「しゃーねーだろ、暗は程にいる事基本禁止なってんだ」
「なので三人は発明で見つかった事にしたいのです♪」
「!」
「発明はインの管轄ですし、インは女帝と接する機会が少なく(避けてる)三人の素性も知られずに済む。三層主には僕から言っておきます。すぐ許可がおりますよ」
涼しい顔のジンホウに対し、いざないは顰めっ面で困惑気味
「…インだってこいつらが暗ならほっとくわけいかねーだろ」
「身内が大切ですし何とかなります」
「は?」
「三人の皆さんにお願いがあります」
ジンホウは三人を見ると片手でジェスチャーしながら話を持ち出す
「三層には伯父がいるのですが、彼にアドバイスをして貰いたいのです」
「……あいつ三層にいんのか?」
「ええ。“あれ”以来研究に身が入らなくて、三層で頭冷やしてる最中なんです」
「…」
あれを思い出し汗。
研究所では休憩室でずっと惚けるコンシルムの原因をヘレデムがジンホウから聞き『え!? じゃ、しょーがないよぉ』と仰天していた
「…コンシルムさんどうかしたんですか?」
「まいちさんに一目惚れしちゃって」
「ええ!!?」
れいりは口を大きく開けびっくり
「三層で更生してる人達のケアを手伝っていたんですけど、そこでまいちさんを知ってる地底の人達と意気投合してしまい」
三層ではまいち話に花を咲かすコンシルムと地底の人達
「危うく種馬にされかけました。今は隔離して謹慎中です」
三層の話に唖然となるいざないとれいり
「インも困ってしまって。どうにかしてコンシルムを正常にしようと頑張ってるんですけど未だ厳しく」
ジンホウは苦笑い
「なのでコンシルムを元に戻せるかもって理由ならインも三人を容認する筈なんです」
「…そりゃ…するわな…甘々だし……」
「と言う事で、出来そうですか? 皆さん」
「…監視されるのか?」
「三層から移動は出来ませんが他は自由です。もしコンシルムが正常になったら生活面も落ち着くまで手伝いましょう」
「!」
好条件に三人は目を丸くする
「フトゥ、どう?」
「…」
しばらく無言になった後、二人に向き頷いた
「やってみる」
「決まりですね」
れいりは胸を撫で下ろす。
いざないは溜息を吐き連絡機をバッグへしまう
「三人は僕が預かります――あ」

〈ありがとう。これで良いみたい〉
〈えっ〉
フトゥは礼を言うが、れいりは良く分かっていない

「いざない君、服が“完成”したので今度実行します」
「いよいよか」
「ええ」
来たるべき日の事に、いざないの体が緊張する
「分岐させましょう」 くす
立ち上がるとジンホウは、挑戦する事への喜びが勝り薄い笑みを浮かべていた

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